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橋本ゼミ グループ発表 2011年度前期

宮澤知樹

 


 

●その他課題が残る代替エネルギー

 

 まず潮力発電についてですが、この発電にはタービンを回すために干潮と満潮の高低差が10m以上必要なので、設置場所が限定されてしまいます。設置場所が限定されるということは普及の足かせになるということです。

 

 次に波力発電は、大規模発電という点では実用化がなかなか進みません。最大の要因は設置や運用コストです。原子力がキロワット約5円なのに対して、波力発電は30~50円かかります。

 また、自然災害などに耐えて安定した運転ができる施設づくりも課題です。

 

 最後に水素エネルギーについてですが、水素をどこから安定して確保し、どうやって安全に貯蔵・供給するかというシステムの確立が必須であり、その技術的・コスト的問題が未解決なので、普及にはまだ時間がかかるでしょう。

 

●次に太陽光発電について説明します。

 

 太陽光発電のメリットとして挙げられるものが、主の三つあります。まず一つ目は、保守が容易で、自動化、無人化が可能である点です。大規模な発電所だけでなく、個人も所有できる簡易さだということです。

二つ目は、太陽電池は半永久的に使用でき(20年以上)、長寿命であるという点です。一度設備投資すればしばらくは交換しなくて済みます。

そして三つめは、エネルギー回収年数が2年前後であるという点です。寿命が20年と仮定すると、2年で元がとれて、残り18年は利益となるわけです。

 

太陽光発電にはその他にも、

曇りの日のような拡散光でも発電できる点。

太陽電池を構成している主原料であるシリコンが、地球上で酸素に次いで2番目に多い元素であり、資源量も豊富である点。

可動部がなく、無公害発電である点。などのメリットがあります。

 

このようなメリットのおかげで、普及はグラフのように年々増しています。

●次に国内での普及事例について紹介していこうと思います。

 

 まずほくでんの取り組みから。

 

200911月から始まった「太陽光発電の余剰電力買取制度」は、「エネルギー供給構造高度化法」注1)に基づいて制定され、太陽光発電システムによって作られた電力のうち、使われずに余った電力(余剰電力)を法令で定める条件により、電力会社が買取する制度です。

ポイント1:「買取対象は余剰電力」

太陽光発電システムにより家庭などで作られた電力のうち、余剰電力が買取対象です。ただし、発電事業目的で設置された太陽光発電システムからの買取は対象外となります。

ポイント2:「買取期間は10年間で買取の単価は固定」

 買取価格は年度毎に国により設定されますが、当該年度に設置された発電設備については、設備等に変更がない場合は、設置以降10年間、単価を固定して買取らせていただきます。

ポイント3:「買取費用は電気を使用する全ての消費者が負担」

 買取費用は、「太陽光発電促進付加金」として、電気を使用する全ての消費者負担してもらいます。徴収は2010年4月から始まっています。電気代の検針票に実際に書いてあるので見てみてください。

 

●また北海道電力は6月2日、伊達市に建設した大規模太陽光発電所(メガソーラー)の「伊達ソーラー発電所」の営業運転を始めました。

出力は1000キロワットで、一般家庭300世帯分の年間使用電力量に相当する年間約100万キロワット時の発電が可能で北電がメガソーラーを運用するのは初めてです。

  稼働後は年間約400トンの二酸化炭素(CO2)排出削減効果を見込んでいます。

北電は2020 度までに計5000キロワット程度のメガソーラーを導入する方針で、残り4000キロワットの発電所建設に向けた情報収集を進めています。

 

●その他の国内事例の一つとして、長崎ハウステンボスがあります。

 

新エネルギーを「見て、触れる」機会を増やし、将来の次世代エネルギーのあり方について広く国民の理解の増進を図るための地域拠点として国が認定した施設が「次世代エネルギーパーク」であり、20093月、長崎のテーマパーク「ハウステンボス」でも、この一環として大規模な太陽光発電の導入が始まりました。

大村湾に面して152ヘクタールという広大な敷地を擁するハウステンボスの10ヵ所に太陽光発電が設置されています。駐車場では330kW、入国棟は70kW、エネルギーセンター棟では100kWの発電規模で、それぞれの発電量はモニターに表示されます。

発電規模は1時間900kW、一般家庭の約250世帯分にあたり、次世代型太陽電池としては当時の全国最大級でした。

この導入は、施設全体の年間電力使用量の23%にあたりますが、それ以上に太陽光発電電力で動くソーラーシップやソーラーボートでの施設内遊園や、 選任ガイドによる環境設備見学ツアーを実施するなど、来園者に楽しみながら次世代エネルギーを体感してもらうことも重要視しています。

 

全国最大といわれる太陽電池の導入額は8億円。その内の約4億がNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の採択を受け、残りの2/3は長崎県の助成金を利用。現時点では、投資の回収は10年以内と予測する。

 

●次に今回の原発問題をうけて、これから動き出そうとする計画について紹介します。

 

このプロジェクトは休耕田や耕作放棄地に太陽光パネルを設置し、メガソーラー発電地とするものです。

 

 

 

 

全国の休耕田と耕作放棄地は全国に54ha(ヘクタール)あります。

仮に全国の休耕田と耕作放棄地の2割に太陽光パネルを敷き詰めると、約5000kW、原発50基分を発電することができます。

 

5000kWというのは、夏場の東京電力の電力供給量の80%に相当します。

 

孫氏は、この電田プロジェクトと全国の屋根に太陽光パネルを取り付ける「屋根プロジェクト」(2000kW)、その他の自然エネルギーで約1kWを自然エネルギー導入の目標値に掲げるべきだとしています。

 

●以上を踏まえると、代替エネルギーのメインはやはり課題が少ない太陽光と風力となります。

 

ただ、自然の力を利用する以上土地によって、時間帯によって、季節によって発電量が左右されるので、ひとつの発電方法に絞らず複数の発電方法を組み合わせて発電量の安定に向けて補完しあうハイブリッド型も注目されるべきでしょう。

 

●最後に、私たちC班の見解として、これからの代替エネルギーのビジョンを描いてみました。

 

実現の見込みが高い順に上から紹介していくと、まず先ほど紹介したハイブリッド型、続いて、住宅購入には太陽電池の設置を義務付けること・空き地には太陽電池を設置義務付け・すべての海沿いに風力発電機を設置・上下水道に水力発電能力を付加する・複数の自然エネルギー発電を洋上の一か所で行う施設の建設・火山に地熱発電施設を内蔵する・最後に宇宙空間にソーラーパネルを並べてしまうことなどを発案しました。